【ご提案1】相続に強い税理士への事前相談をお勧めします
所有財産の総額が1億円を超える場合には、小規模宅地等の特例を利用したとしても、相続税が発生する可能性が高いと言えます。
また、財産規模が大きいため、相続発生後の相続税申告について、税務調査に選ばれる可能性も高いです。
実際にご相続が発生する前に、相続に強い税理士に相談することで、次のメリットがあります。
①相続税の試算
相続税がどのくらいかかるのかを試算することで、将来のご相続に備えて計画的に準備を進めることができます。特に、財産の大部分を不動産等が占めている場合には、納税資金の準備をしておくことが必要になります。
相続税がどのくらい発生するかを事前に知ることで、納税の準備や対策を講じやすくなります。
②税務調査対策ができる
財産総額が1億円を超える場合には、相続発生後の相続税申告について、税務調査に選ばれる可能性も高いため、事前に税理士に財産の概要を説明しておくことで、円滑に書面添付制度(税理士のみが作成することができる申告書に係る税務監査保証書を添付する制度)を利用することができます。
書面添付制度が利用された申告については、利用していない申告に比べて、税務調査が実施される確率が大幅に減少します。
③節税対策と分割対策
相続税の試算を踏まえて、生前贈与や不動産の活用など、効果的な節税対策が取れます。また、家族間での円滑な財産分割を進めるため、財産全体の評価や負担のイメージを共有できます。
【ご提案2】非上場株式の処分について考えておきましょう
あなた自身が経営する会社の株式であれば、株価対策を行った上で、生前に贈与することも可能です。非上場株式の時価は、税務上複雑な取り扱いになっておりますので、事前に税理士に相談することをお勧めします。
また、あなたがお持ちの非上場株式が自社株式ではない場合には、生前に発行会社に対して、買取請求などを行い、処分しておく選択も有効です。買取請求は、税法・会社法の分野であり、これもまた複雑な取り扱いになりますので、事前に税理士・弁護士に相談しておくことで、発行会社との価格交渉を有利に進めることが可能です。
【ご提案3】遺言書の作成は必須です
配偶者も子供いない場合には、遺言書の作成は必須と言えます。財産の行き先を自分の意思で決め、無用なトラブルを防ぐために非常に重要です。具体的には以下の点が挙げられます。
①遺産の希望通りの分配
遺言書がない場合には、親又は兄弟姉妹が法定相続人となります。また、親又は兄弟姉妹がすでにお亡くなりになっている場合には、兄弟姉妹の子供(甥姪)が法定相続人となります。
遺言書があれば、特定の親族や友人、慈善団体など自分が望む人や団体に遺産を渡すことができますし、親族に迷惑をかけることなく、相続手続きをスムーズに進めることができます。
②相続争いの回避
配偶者も子供もいない場合、法定相続人として親や兄弟姉妹、甥姪が登場しますが、相続人が複数いると、財産の分け方で意見が対立しやすくなります。
例えば、遠縁の親族が複数いる場合、誰がどれだけの財産を受け取るかを巡って争いが生じ、遺産分割協議が長引くことがあります。
遺言書があれば、誰に何を相続させるかを事前に明確にでき、相続手続きがスムーズに進むため、親族間のトラブルを未然に防げます。
③遺産の管理者の指定
遺言書では、「遺言執行者」を指定することができます。もし遺言執行者を指定しなければ、遺産分配を進める際に相続人同士で協議が必要になり、話し合いがまとまらないなど、多くの時間と費用がかかります。
遺言書で信頼できる人や専門家(弁護士や税理士など)を遺言執行者に指定しておけば、自分の意思に基づいた分配が確実に行われ、手続きが円滑に進むため安心です。